- 「藤村いろは歌留多」と藤村童話「ふるさと」
- 2014年12月24日
年末から年始は洋風なクリスマスを楽しんだ後は純和風のお正月を楽しんで・・田舎に帰って・・・お年玉もらったりあげたり・・・都会へ帰ればバーゲンセールが始まる・・・と色々と楽しい時期。
そして自分と同じ世代のお友達だけでなく、甥っ子姪っ子やおじいちゃんおばあちゃん・・・と色んな世代の人と交わる機会です。
日本人が日本ぽい物事にどっぷり浸かって、「あ〜これこれ。この和風三昧の感じ・・・」を一番思い出す時間かもしれません。
でも、人によってはそんな日本的な時間や人付き合いがちょっと苦手・・・の方もいらっしゃる筈。
何とかその雰囲気に馴染む何か話のきっかけを心の中で探す様な場面があるかもしれません。
無難な「最近流行りの音楽の話・・・でも・・じゃあ誰でも少しは知ってるAKBの・・・とかEXILEトライブがさ〜・・・とかセカオワのコンサートいった?サカナクションみたいにMAC使ってステージで演奏もかっこいいし・・・洋楽だったらやっぱりコールドプレイ好きだし・・・アリアナグランデが・・・ワンダイレクションが・・・」と必死に頭の中でいっぱい思いだして、ええ〜と・・・・と話を合わせようとしても疲れるだけ。
そこで!
今回の藤村ドキドキはそんな「ジェネレーションギャップ」を埋めてくれて、きっともっと家族の皆さんと仲良くなれて、どんな世代の人でも楽しめる、「歌留多(カルタ)」と「童話本」をご紹介したいと思います。
まず、日本のお正月っぽい遊びといえばこれ。「カルタ遊び」です。カルタ=CARTAはポルトガル語で紙板状のカードゲームを指したそうです。
キリスト教の宣教師達が日本に伝えた室町〜戦国時代には殿様がお城や戦場で遊んでいたのか知らん?と思います。
さて、話を戻して・・・
大正16年(=昭和元年)に島崎藤村がカルタの文を書き、岡本一平(岡本太郎氏の父であり岡本かの子女史のご主人)が絵を描いた「藤村いろは歌留多」というカルタがあります。
「いろはにほへと・・・」の順に面白おかしく、藤村は文を書き、岡本一平はそこから更にイメージを広げてユニークなカルタ絵を1枚1枚に当てはめています。
初版は実業之日本社より昭和2年に80銭で発売され、現在は復刻版が2000円程で手に入ります。
新春に縁起の良い「笑顔は光る」とか「独楽の澄む時、辛棒の廻る時」といった禅問答の様なもの「好いお客は後から」とおみくじに書いてある様なものまであって、ひとつひとつ読んで見ると本当に楽しいカルタです。
「子供よ。来て遊べ、と言って父母も一緒に遊んで下さい」と藤村は書き添えています。
さてもうひとつの「童話」の方ですが藤村は「ふるさと」という童話を書いています。
この童話には、藤村がこの馬籠宿で過ごした子供の頃の思い出や当時の様子、そして馬籠を出て東京に旅立つ時に感じた「木曽路」「木曽谷」の事を書いた小さなエッセイ集の様になっています。
戦前の日本で使われていた旧仮名使いで書かれているのですが、子供達への話として書かれているので難なくすらすらと読み進む事ができます。
小さな子供達に「ネットのゲームをちょっと止めて、皆で炬燵に入ってみかん食べながらお話を聞かない?」と誘い出して読んできかせる・・・といった感じで声を出して読んでみるといい本だと思います。
この「ふるさと」には沢山の馬籠宿の歴史や文化、自然や動植物の事が書かれていて、さしずめ「江戸時代の暮らしが色濃く残っていた明治時代初期の様子をまとめた資料」や「馬籠観光のガイドブック」の様にすら感じます。
藤村の描写力の豊かさが、私たちの想像力を掻き立ててくれます。
そして「歌留多」や「童話」を通して「馬籠宿ってどんな所?」と思ったら、是非一度お越しくださいね!
2015年が皆様にとって良いお年でありますように。
作:とざそし まき