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- 2013年12月03日
12月に入って街は奇麗なクリスマスの飾り付けで華やかな雰囲気です。
忘年会を兼ねたクリスマスパーティ、ロマンティックなイブデート、家族揃ってプレゼントの交換・・・皆さんそれぞれに今年はどんなイブやクリスマスになるのかな?って楽しみにしていらっしゃると思います。
江戸時代には禁制であったキリスト教は、明治時代になると文明開花の号令の元に、西洋文化と共に新しい時代の啓蒙思想として広く様々な階層の人々に受け入れられ浸透してゆきました。
明治時代に新しく創設された学校の中にもキリスト教を教育精神として取り入れた多くの学び舎があります。
島崎藤村は16歳の時に現在の明治学院大学の第一期生として入学し、後に洗礼を受けプロテスタントの信者となっています。
9歳で馬籠を離れて上京。
少年から青年時代までの繊細で多感な時期を島崎藤村は時代の変化が押し寄せる東京で自分のアイデンティティーをどう見つけるのか?と、どれほど深く自身に問いかけていたかと想像できます。
プロテスタントはイギリスで盛況な事もあり明治学院大学の図書館にはイギリスの代表的な作家、シェークスピアの作品も多く収監され、島崎藤村もハムレット等の劇作品を好んで読んでいたそうです。
キリスト教とシェークスピア、この2つが島崎藤村に与えた影響力の大きさはその後の彼の作品郡を読み進むと良くわかります。
イブの差し出した禁断の林檎を食べてしまったアダム。
そして、その時から無邪気な時間は永遠に失われてしまった。
島崎藤村の代表作「初恋」は旧約聖書のそんな一説を彷彿とさせる作品とも言われています。
「林檎」は藤村にとってどんなメタファーだったんでしょうか?
「林檎」にいくつもの深い意味合いを重ね持たせ詠み人の想像力をかき立てる・・・
見事の一言につきる作品です。
コラムニスト:とざそし まき
