- ツバメ
- 2014年06月28日
六月の終わりの週末の馬籠は、混み合う事も無くゆったりとした空気が流れています。
曇り、晴れ、雨と一日の中でもくるくると天気が変わりますが、それもまた楽しいと思います。
馬籠宿には沢山のツバメがあちこちに巣をかけています。
四月初めのまだ肌寒い時期に南からの暖かい風に乗って馬籠宿に到着した頃はまだ羽虫も少なく随分を痩せて小さく思えましたが、最近は丸々と太って見違える様な体格になっています。
馬籠宿の昔ながらの日本家屋の大きな「軒先」の隙間は、カラスの大型の鳥達からヒナを守るのに適しているのだと思います。
また軒先が深いので、強い雨や風からも巣は守られます。
またこのツバメ達は馬籠館等の飲食店にとっては、とても有り難い存在です。
食べ物の匂いに誘われてやってくる羽虫達を片っ端から捉えて食べてしまいます。
その食欲たるや・・・これから子育てが始まるとものすごい数の羽虫を更に捕獲する様になるので、「益鳥」と言われる理由が分かります。
日本国内でツバメの飛来の激減が報告されていますが、木曽路の宿場町の様な場所ではツバメの姿をまだあちこちで見る事ができます。
このツバメ達は人や車を恐れる事無く、どちらかというと車が巻き起こす空気の流れを利用して小さな虫を捉えるのに利用しています。
小さな隣人達を静かに観察していると、人と自然が互いに補い合い共存している事を身近に感じます。
ツバメの鳴き方を真似してみると、ちゃんとツバメ達は首をかしげながらも振り向いてくれます。
昔ながらの自然と人のほどよい距離が木曽路には息づいています。
中山道木曽路を巡ると昔と変わらぬ人の暮らしと自然のバランスから、それも「歴史」や「文化」の一部だと思い起こさせてくれます。
島崎藤村の本を読むと、その自然描写の細かさは馬籠宿界隈で目にし、遊んだ子供の頃の記憶の引き出しから描いている事を感じます。
「懐かしい心の風景」を感じさせる馬籠宿で、どうぞゆっくりと時間をお過ごし下さい。


